「我書アート」は自分を深く見つめ感じることにより湧き上がってくる言葉をアートにします。自らを表現した言葉の作品は、大きな癒しのエネルギーを発すると共に、コーチングであり、セラピーであり、気づきとの新鮮な出会でもあります。
我書アート
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大切なことは
自分にウソをつかない人生
先生は自分の中にいます
----今回は我書アーティストで童話作家でもある滝本洋子さんに、「素敵な右脳生活を送るために」をテーマにいろいろなお話を聞いています。
滝本さんも、自分が納得できる人生をつかむまでにはいろいろあったと思いますが、そこから聞かせてください。
滝本  やっぱり、自分らしく生きる上で一番大切なのは、自分にウソをつかないこと。
 それが一番だと思います。結婚生活をしているとき、わたしはいい奥さんになろうと、いいお母さんになろうと一生懸命、世の中のいいというスタイルに当てはめようとして、すごく無理をしていたんですね。
 その結果、すごいストレスがたまって、自分じゃない自分を演じている自分を感じて、もうやってられないってことで離婚しました。離婚したときに一番思ったことは、「自分にウソをつかない」ということでした。いま、それは大正解だったなと思います。
 そのとき思ったのは「あぁ、わたしは自分を生きていない」って。だから、自分を生きないと、こんなに苦痛が自分の中に引き寄せられるというのを、本当に体験的に感じていたんです。
----なかなかつらい経験でしたね。
滝本  けれども、そこから私の作品が生まれることになったのです。
 それは、一番当たり前のことだけど、難しいことでした。みなさん、できないんですよね。まず、一番大切なのは、自分を大切にすること。実はわたしも大切にしていなかったんですが。
 いままでの常識や価値観では、自分を大切にするよりは、「まず人を大切にして、人のために生きなさい。それが美しいんですよ」と言いますね。
 でも、わたしはある日、それは「どこかおかしい」って思ったんです。
 そうやって、夫のため子どものためって生きてきた結果、私はすごく不幸だった。そこで初めて気がついたんです。
 やっぱり、自分に素直になって、自分自身を生きて、自分を愛して自分が満たされて、初めて本当に他人を愛せるということを、私はつらい体験を通して本当に学んだんです。
----そこまで自分に正直になるには時間がかかりましたね。
滝本  そうです。別れた夫も決してマイホームパパではなくて企業戦士で、家族を省みない人だったんですね。娘も、決していい子ではなくて、すごく個性的で自分をバンバン主張する、母親にとっては難しい娘だったんです。そんな娘も22歳になりました。
 だけど、そういう娘を通じて、わたしはやっぱり毅然として「自分を大切に生きなくては」ということを学んだのです。
----愛する娘に対して、毅然としなくてはいけないと。
滝本  わたしが毅然とすることによって、いっときは娘もちょっと悲しい思いをするんです、甘えられなくって。
 でも、彼女にとっては、それが一番必要なんです。わたしに甘えないで自分で生きていく、それを教えるためにも、わたしは彼女を突き放すような生き方を選んでいます。
 いまは、ちょっと娘とあまり上手くいってないんですけど、彼女が結婚して、子どもができて、もっと成長したら、わたしの本当の気持ちが理解できるって思っているんです。そのとき、本当に理解し合える親子になれるなって思っています。
----それは辛いけど、大事なことですね。
滝本  だから、わたしは世間の常識というか、何か枠にはまった理想的な親子像というのは一つではないと思います。
 親子の関係も十人十色でいいんです。仲良くない親子関係がいま必要だ、という状況もあると思います。
----それは面白い見方ですね。
滝本 皆さん、親子が仲良くないとなると、自分を責めちゃうんですね。
----たしかに。
滝本  最近、テレビでは仲良し親子というのが、いっぱい出ていますよね。ああいうのを見るにつけ、自分は違うなと思うと自分を責めてしまって。
  でも、あれは、一つの例でしかないんですよね。そのたった一つしかない例に自分を当てはめようとするから。自分たちには自分たちのやり方があって、その状況から学ばなくてはいけない状況ってあるんです。
  そこに気づくと、どんなにいまは険悪だとしても、いまこの状況は必要だなって思えて葛藤はなくなるんですよね。
----そういうふうに分かるまでに、時間はかかりますね。
滝本  そうですね。私もそれまで、ちょっと悩みました。その悩んだ結果、解決の糸口が、自分で作品を書くことによって、自分を見つめることによって、いまはいろんなことが見えてきた。
 墨で自分の字を書いて、それを吐き出して、その吐き出した作品を客観的に見ることによって、自分を客観視できる。
 そういう過程が、わたしはすごく役にたっているし、いま「滝本洋子の我書」にして書き物にするワークショップをやっています。そこで、 皆さん本当に自分と向き合って、その中から出て来た深いところのものを自分の作品にしています。
 皆さん、本当にすばらしい作品がいっぱいできるし、人間というのはスゴイなと、本当に思うんです。
----どういうふうに素晴らしいですか。
滝本  普通にワークショップをやるとか、アートを人に教えるとかいうときは、必ず先生がいますね。しかし、私のワークショップには、先生はいないんんです。実は、「先生」は自分自身なんですね。
 自分の思いに従って、それこそ右の脳だけで考えてきた結果、作品ができあがっていく。
 だから、お手本は自分自身ですというのがコンセプトなんです。お教えするときも、ただお伝えすることは「皆さまの中にぜんぶありますよ」って。そのぜんぶあるのを引き出すのはあなた(自分)自身なんです。
 いままでのわたしたちの学校教育だと、お手本があって教科書があって、先生がいて、その通りにやって、ただ待っていればできるみたいな、そういうインプットがあります。
 私はそれをまず、ぜんぶ外すことから始めるんです。まずお手本が自分自身にあって、「わたしは何も教えることがない」んです、と。
----そう言い切っちゃうんですね。
滝本  そう、言い切っちゃうんです。そうすると、「自分しかない」と皆さん思うらしくて、まず、自分と向かい合っていただきます。一時間ぐらい、瞑想っていうのかな。自分を見つめる時間をとっていただいて、自分の感情をぜんぶ、ノートに書き出してもらうんです。
 本当に人によっては泣きながらノートに、涙をこぼしながらノートに向き合ってるとか、人によっていろいろあるんですけど、怒りとか恐れとか、そういう強い感情をぜんぶノートに書くんです。とにかく書くんです。
 ひたすら書くんです。その書いたものが人によっては何十ページになるj人もいれば、何ページになるとか人によって違うんですけど、その書いたものが素材なんです。それがまさにその人の先生なんです。
 その中から、大切な言葉、一番自分の言いたい言葉を拾ってきて、それから構図のやり方はわたしがお教えするんですけど、それから構図をまとめて作品にしていくんです。
 そうすると、その人しか書けない作品がちゃんと生まれてくるんです。それは、本当に感動的です。
 アートなんかも知らなくて、書道もやったことない方が、生まれて初めて筆を持って、一時半から七時までのワークなんですけど、始めたときは「できるかしら」と言っていた人が、七時ごろにはちゃんと自分の作品ができて額に入れて。皆の前で発表するんです。
 それを見るにつけ、人間って何も教えなくても引き出す方法さえちょっとアドバイスしてあげれば、誰でもみんなアーティストなんだなと、すごく思うんですね。
----誰でもアーティストですか。
滝本  そう。それを学校教育が、ぜんぶはぎ取ってしまって、個性をぜんぶはぎとってしまって、その人らしさをなくしてしまってる。みんな金太郎飴みたいな形に押し込んでいるのが学校教育ですよね。
 でも、本当に自分を見つめれば、その人の中に答え(アート)があるんです。ワークショップで皆さんの作品を見て教えられたのは、個性のすばらしさ、人と違うことのすばらしさですね。
 ひとり一人が本当に違う作品なんですよ。その違う作品が、その人の中からぜんぶ出てきた、この違いがわたしたちに必要なんだな、と思うんです。
 ワークショップで最後に皆さんの作品を見せていただいて、いつも思います。
 だから、誰が上手とか下手とか、そういうことじゃないんです。一番、二番とかランク付けじゃなくて、本当に違いがすばらしい。そんなことを皆さん、感じてくださっているみたいで。だから、終わったとき、すごくいい顔なさっています。
----語らずして、右脳の話をしていますね。これから、そういう時代ですね。
滝本 そうですね。だけど、右脳ばかりでも生きていけないと思うんです。現実に生きていく上には、左脳の、税金のこととか頭を使わなくてはいけないことがあるし、バランスだと思うんです。
 いままでは左脳に偏り、いき過ぎていたから七田先生のような方が必要だと思うんですね。もうちょっと皆さん、右脳を使ってバランスをとって生きていったら、自分らしく生きられるかなと思います。
----体験からほとばしるお話を聞きました。人生では自分自身が先生だという。
最後になりますが、いまの目標は何ですか。
滝本  わたしのメッセージの言いたいことの集大成が『ジュンと帽子とぬいぐるみ』という大人の童話です。
 インターネットでオープンしているんですけど、体験のすばらしさ、体験の必要性、いかに人間は体験することが大切かということを、そういう言いたいことをぜんぶ 『ジュンと帽子とぬいぐるみ』という童話の中に凝縮しているんです。
 これは二十一世紀の『星の王子さま』だという方もいます。これが世に出ることが私の夢なんです。


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